2013年2月25日月曜日

連載「ゲーマーのための読書案内」第16回:「アウトサイダー」_1

 クトゥルー神話というと,昨今では小説,映画はもちろん,アニメやゲームの背景設定にまで利用されている。よく知られているようにその源流は,H?P?ラヴクラフトが戦間期アメリカで創り上げた一連の物語であった。人間の理解を超えた名状しがたい存在あるいは神々。禁忌の知識がしたためられた古の書物。家系にひそむ忌まわしき謎。これらはすべてクトゥルー神話の定番要素である。  そもクトゥルーという単語にしても,英文表記はCthulhuとなり,これをどう発音するかは定かではない。なぜなら彼らは人間とは完全に別の存在であり,人間の発音能力や言語理解能力とはまったく異なる系統を持っているのだからクトゥルーというのは,人間が人知を超えた神々の名前をどうにかして書きとめようとした努力の結果の一つにすぎないという設定だ。  こういったギミックに惹きつけられたファンは多く,シャーロキアンならぬ“ラヴクラフティアン”もまた多い。日本では佐野史郎が熱心なラヴクラフティアンだし,菊地秀行や栗本 薫といった作家がクトゥルー神話を踏まえた作品を書いていることは,先刻ご承知だろう。もちろん海外でも(というか海外にこそ)ラヴクラフトに影響を受けた作家は多く,幾多の作家がそのモチーフを直接使った作品を書いている。  だが,例えば不定形で茫洋と光る奇怪な怪物とか,南海の孤島で発見された陶片に刻まれた謎の記述とか,どこか魚類を思わせる蛙臭い老人とか,そういった個々のギミックは,クトゥルー神話を文字どおり神話として形づくる要素ではあれ,その本伽扦悉胜い瑜Δ怂激à搿M瑯敜恕袱嗓长饯长紊裨挙去ゥ氅`神話のキーワードと通底している」「どれそれといった歴史的事件の背後にはクトゥルー神話との関連性が窺える」といった後付け的な遊びは,非常に楽しくはあるものの,やはりかの神話体系の根幹ではない。  このことは,ラヴクラフトの短編の一つ,「アウトサイダー」を読んでみるとはっきりする,ブーツ。「アウトサイダー」は収録されている「ラヴクラフト全集 3」において文庫本10ページ程度の短い作品で,一般的にはクトゥルー神話体系に含まれていないと考えられている。だが,この作品にはおそらくラヴクラフトの世界観が,かなり剥きだしに近い状態で書かれている。  ネタバレを承知で,「アウトサイダー」を簡単に要約しよう。筋書きはこの短編の面白さの本伽扦悉胜い椁馈,Diablo 3 Gold?br /> 生まれてこのかた書物の記述以外で人間に会ったことがなく,ひたすら孤独をかこっていた主人公は,あるとき自分の館を抜け出すことに成功し,ついに自分以外の人間が集まっている場所までたどり着く
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